000506 十三陵(中国5)


 万里の長城に行った、と北京で言うと、「十三陵には行った?」と聞かれます。日本語堪能な中国人スタッフによると、万里の長城はおもしろくない、十三陵はおもしろい、のだそうです。万里の長城に行ったことは自分が死ぬときに思い出すたぐいのもので、現場で面白いかどうかは評価の対象にならないように私は思いますが、とにかく、長城のオプション、十三陵について、お話ししましょう。

写真の順番からして入り口近くに違いない

 私の「地球の歩き方」は今、手元にない(モミジに置いてある)ので、詳しくはガイドブックなど見ていただくとして、十三陵は清朝
(※1)の歴代のお墓がある地域です。仁徳天皇陵の周辺にいくつもの古墳があるように、一個の施設ではなく、畑や人家の中に連携無く散らばっています。その中で、北京から来て入り口にあたる長い散歩道と、そこからタクシーで少し走った北方の博物館(実際の古墳の地下をそのまま展示場にしてある)の2箇所を見ました。

気持ちの良い長い散歩道

 ただひたすら直線の石畳を1kmほど
(※2)も歩いて引き返す。反対側にも出入り口があるので、知っていれば向こう側にタクシーを回しておくんだった。

キリン

 この数日前、劉さんと食事したときの話し。テーブルに龍の飾りがあった。

劉:「龍は想像上の動物です。キリンと同じです。」
利:「キリンいっぱいいるぜ、動物園に。」
劉:「それは違います。キリンは実在しない。」

 私が絵を描いて示すと、

劉:「それは首長鹿ですね。」

 実際、彼の言うとおりなんだな。彼は、キリンビールのマークも知ってるんだ。あれがキリンで、日本の動物園にいるキリンは、日本人が間違えて付けた名前なんだ。

劉:「いろんな動物の理想的な部分を組み合わせた、想像上の動物です。」

 ナルホド。上が本当の(架空の)キリンです。

象

 動物でさえ、皇帝の前にひれ伏す、という意味なんだそうだ。立った象もいたぜ、劉さん。

劉老師

 歴代皇帝の肖像画がならんでいる。よく似た顔が並ぶ中で、突然ある代で似ても似つかない顔が。その前で期せずして3人で首を傾げたことだった。

さわやかな二人

 鹿児島で言えば、吉野公園みたいな感じだな。

 タクシーですこし移動して、地下の博物館
(※3)とやらに行きました。中もすべて見物しましたが、私も、たぶんみなさんも、死んだ権力者の持ち物には、あまり関心が無いのではないかと思います。そこで、その場所で一人ずつ撮った写真を掲げて、この日の報告を終わります。このほうが、みなさんはともかく私には、1年後、5年後、10年後には、大部の古墳研究書よりも、価値がありそうに思われます。

劉さん

 劉さんはこの前日に退職。この日、モミジの前でタクシーを降りて「私は別の場所へ行きます」と別れ、それから会っていません。今頃は瀋陽で仕事を見つけたか、仕事を探しているかのどちらかのはずです。彼は万里の長城の外に、帰ったわけです。

蘇さん

 蘇さんは今でもモミジでアルバイトしています。本人が言うには、おじいさんが清朝のごく近い身内なのだそうです。

西田利

 5月いっぱいでとりあえず中国を去る予定の西田利。その後は未定です。

※1 正しくは明朝(7月3日追記)
※2 正しくは3kmほど(7月3日追記)
※3 定陵(7月3日追記)




2000年6月14日作成 home pageへ